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大人の愛着障害の修復について

精神医学とカウンセリングの違い

 

現在の精神医学は、DSM-5-TR(精神疾患の診断と統計マニュアル)に基づく「医学モデル」によって診断と処方が行われています。
初診ではおよそ30分程度かけて症状が把握されますが、その後の診察時間は一般的に7〜8分程度です。

しかし、「心の悩み」や「生きづらさ」といった問題に向き合うには、それだけでは十分ではありません。傾聴を重視したカウンセリングこそが、大人の愛着障害の回復に有効であると私は考えています。

大人の愛着障害を修復するためのポイント

1,愛着は回復可能であると知る

 

愛着障害は「もう取り返しがつかない」と思われがちですが、そうではありません。人間には「可塑性(変化できる力)」と「レジリエンス(回復力)」があります。それを信じることが出発点です。

たとえば、幼少期に虐待やネグレクトを受けた方の心は、その痛みや空白を、問題行動・感情の起伏・依存・嗜癖などによって“埋めよう”とします。それが結果として苦しみを深めてしまうのです。

ですが、「理性」と「本能」のバランスが崩れていることに気づき、健全な心を育てたいと本気で向き合う覚悟ができれば、必ず回復の道が開かれます。

2,安心・安全な環境を整える

 

大人の愛着障害の修復には、「心の安全基地」の存在が欠かせません。
しかし、多くの人にとってこれは容易なことではありません。

  • 養育者との関係に問題があった場合、そもそも「安全基地」を知らずに育った可能性が高い

  • パートナーとの関係も悪化しているケースが多く、「あなたが安全基地になって」と伝えても受け入れてもらえないことが多い

  • 自らの言動・行動が信頼を損なってきた結果、他者との関係性が築きにくい状態にある

このような状況の中で「心の安全基地」を得るには、既に愛着障害を修復した人の存在が大きな助けになります。
その人の言葉を信じ、アドバイスを受けながら、日々の言動・行動を根本から見直すことが、信頼回復の第一歩となります。

3,過去へのとらわれからの解放

 

自らが「大人の愛着障害である」と気づいたとき、多くの方は深い絶望感に襲われます。
「自分の人生は壊された」「もう取り返せない」と感じてしまい、過去のトラウマが心を覆います。

自己否定、うつ状態、自暴自棄に陥ることも珍しくありません。
ですが、回復には時間がかかっても、可能です。半年以上かかることもあります。

その中で大切なことは、

  • 自分を責めすぎず、回復に必要なプロセスを認めること

  • 修復された方の支援を得ながら、日常の言動を一つひとつ丁寧に見直していくこと

「心の安全基地」が得られたとき、人は初めて“愛着の再形成”という道を歩むことができるのです。

4,有酸素運動と回復

 

うつ状態にあるときは、「運動が良い」と言われても身体が動きません。
その場合は、まず医師の診断のもとしっかりと休息を取ることが大切です。

徐々に、週に数回のウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で有酸素運動を取り入れることで、心身のバランスを回復する手助けになります。

最後に

 

大人の愛着障害を修復するには、一人で抱え込まず、すでに修復した経験を持つ人とつながることがとても大切です。

心の安全基地とは、「理解してくれる存在」「共感してくれる存在」でもあります。
私は、そのような存在として、あなたの心に寄り添えるよう尽力いたします。

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