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精神心理学を学び、生き延びる

── 心の傷と向き合いながら、再生の道を歩んでいます ──

心が壊れた原点──幼い頃の私
私は、幼児期・少年期・青年期を通じて、両親の別居や離婚を経験しました。
幼いながらも、「母を助けなければ」と感じていたのだと思います。
しかしその結果、私の心はいつしか、両親の関係の中で深く傷つき、壊れていきました。

その事実に気づいたのは、60年以上経った頃でした。
けれども、すでに「心の病」は私の人生に大きく影を落としており、社会生活にも深い影響を与えていました。

​負の連鎖の中で──家庭・職場・自分自身

私は社会人・家庭人として歩みながら、「負の連鎖」の中に身を置いていました。

人間関係を築くことがとても難しく、職場や家庭においても混乱を繰り返していました。

「家庭崩壊の危機、医師の診断、そして適応障害。」 双極性障害(躁うつ病)と診断され、治療やカウンセリングを受けながら、自分自身の実体験を手がかりに、20年にわたって精神心理学を学び続けました。

試行錯誤の20年──精神心理学を学んで
妻の協力を得て、自らを“臨床研究”の対象としながら、試行錯誤を重ねてきました。
その中で私は、自分が「機能不全家族」の中で育ち、「アダルトチルドレン」であり、「毒親」の影響を受けていたこと…そしてそれが適応障害を引き起こしていたことに気づいたのです。

​「大人の愛着障害」という言葉と出会って

2022年、「大人の愛着障害」という言葉と出会いました。

私は一歳半から四歳半まで、乳母によって育てられていました。

後年、その乳母から聞いた証言を通じて、私は幼児期に愛着が形成され、その後引き離されたことによって「愛着障害」が始まった、と確信しました。

そして今、大人になった私は、「大人の愛着障害」を抱えて生きていると受け止めています。

私は自分の家系図(ジェノグラム)を曾祖父母の代までさかのぼって作成し、家系の中で繰り返される「負の連鎖」に気づきました。

それは単に私一人の問題ではなく、代々引き継がれてきた「未解決の課題」だったのです。

​再評価される愛着理論

近年、「心の病」の根底に「愛着障害」があるのではないか、と注目されています。 しかし、精神疾患の診断基準(DSM-5-TR)には「大人の愛着障害」は明記されていません。
それでもなお、今、英国の精神科医ジョン・ボウルビィが半世紀以上前に提唱した愛着理論が、世界的に再評価されています。 (当時、精神分析の主流派に彼の考えは受け入れられず、グループから排斥されました。)

ボウルビィ医師は1951年、母親による養育と子どもの心の健康に関する論文を発表し、「子どもが健やかに社会的・精神的に成長するには、少なくとも1人の養育者との安定した愛着関係が必要であり、それが失われた場合、深刻な心理的影響を及ぼす」 と述べました。

この理論は、人間関係を築くための「心の土台」を説明するものです。

その土台が欠けたまま大人になったとき、私たちは大人の愛着障害という形で生きづらさを抱えるのです。 私はまさに、その「土台」を失い、長年にわたって人間関係に困難を抱えてきました。

私は、心の問題に対して「愛着理論」の視点から向き合ってきました。

現在の医学モデルでは、精神的な問題や行動の問題は“多因子”で説明されますが、 愛着関係そのものにアプローチすることこそが、根本的な癒しにつながると実感しています。

​安全基地を築くことの大切さ

私は妻(パートナー)に対して、自らの不適切な言動が「どこから来ていたのか」を説明し、謝罪しました。

そして、私の心を修復するには「心の安全な場所=安全基地」が必要だと伝えました。 妻はそれを受け入れ、私にとっての安全基地となってくれました。

私は今も、「愛着の再形成」に取り組みながら、生き延びています。

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